サヨナラの音

DUO HAYASHI を2週間前に聞きに行き
目の前でのチェロの響きに 高揚したり陰鬱になったり 入り込んで聴きました。
スペイン・トレドの街角で初めて生のチェロを聴いたときに 
魂が震える音色が好きになったことを思い出します。
今でも街角で出会った彼の音色を クリニックで時折流しています。→こちらから

チェロの音色は 
哀しみ、瞑想、苦悩、晦渋の表現に合うと思うのは私だけでしょうか?
切なく甘く抒情的でもあります。

56歳で他界したベートーベン:チェロとピアノのためのソナタ 第4番 OP102-1
45歳の作品。
ベートーベンは40歳からの10年間、10曲くらいしか創作しなかったそうです。
この作品を発表したころは、9歳の甥カールの親権を争う裁判で困憊していたときだとか。
大作曲家の私生活も 波乱万丈だったということ。

79歳まで長寿を全うした フォーレ。
夢のあとに、パヴァーヌ、ロマンス、シシリエンヌ、セレナード。
美しい旋律が静かな空間に響く様子は きっと100年前と同じ。
人の心が震えるのは いつの時代でも同じです。
フランスの有名なサンサースが フォーレにバッハなどのバロック音楽を指導しました。
当時 バロックは パリで主流でなかったにもかかわらず
バロックは大切だ!!と説き 志向が合わない人達を 運よく追いやりました。
フォーレの弟子 ラベルが ローマ賞(当時作曲家の登竜門)に何度か応募するものの
彼が一楽章多く作曲してしまったためとれなかったことを フォーレは納得いかず
音楽界の大改革を行ったそうです。
60歳以後、耳鳴りが起こり難聴にもなり 低音や高音が3度もずれる事態になったそうですが
それがむしろ 型にはまらない作曲につながったのかも知れません。

このようなことを  DUO HAYASHI フレンドリーコンサートにて
林 俊昭さん(チェロ)と 林 由香子さん(ピアノ)のトークにて知りました。

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その時 購入したCDにて 
フォーレとショパンのチェロとピアノのためのソナタ作品65をここ数日間聴きこんでいます。
ショパンのこの作品は 彼が健康を害してからの作品、
内省的で渋みがあり 美しい旋律に涙がこぼれます。

色々な人生があることを知っていても
世の中には 受け入れがたい現実が起こりえます。
どうして?
なぜ あの人が?

熟睡型の私が 数日前 突然 嫌な予感がして目が覚めたとき、その後眠れなかったこと。
紅葉の美しさも青空も 今は なかなか 目に入りません。
なぜならば 目に見えない何かを 今 唐突に感じているから。

どんなに忙しくても 患者さんへの優しい問いかけ、説明を教えてくれた人。
私の状況を受け入れて 寄り添ってくださった人。
家族の状況を 気長く見守り支えてくれた人。
大切な人に 最後のプレゼントを届けてくれた人。→ こちらから
医師という仕事は 治療は勿論、
患者さんにもスタッフにも 「生きる」をサポートすることだと教えてくれた人。

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サヨナラの言葉が まだ 言えないので
サヨナラの音で 毎日、思いを馳せています。
会うことができなくなった人と
目には見えない音で 会話をしているつもりです。 
本当に たくさんのことを教えてくださり、ありがとうございました。
教えてくださったとおり、これからも患者さんと沢山話をします。
〇〇ちゃんって 愛情をもって スタッフを呼びます。
レイちゃんはね、、、って いつも呼んでくださったから
これからオバチャンになっても レイちゃん でいます。
いつか 仕事と家庭のことの報告ができるまで
しばし こちらの世界で 貴方のように 忙しく生き 優しく 進みます。

また オアイデキマスから、サヨナラは言わず サヨナラの音だけで。



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by ray_matsumoto | 2017-11-13 20:22 | My Diary | Trackback | Comments(0)